気の向くままにつらつらと。

歩きや自転車で巡った様々な場所を紹介します。ついでにその土地の歴史なんかも調べてみたりしています。

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2013/02/18

名所江戸百景:小梅堤 -梅のある風景-


名所江戸百景 第104景 小梅堤 1857年(安政4年2月)(ブルックリン美術館所蔵)
今回は広重の作品の中でも、当時の江戸の情景を如実に 表していることで知られる「名所江戸百景」から、それほど有名でない「小梅堤」を紹介したい。

なぜこの作品なのか。
それは、私の住まいがこの作品が描かれた地の近くであるからに他ならない。しかし、調べてみるとこの一枚には様々な情報が含まれていることがわかった。

■作品概形
広大な田園風景が広がるこの地は、現在スカイツリーがある押上・向島の風景である。
平坦な土地で、川が増水すると水浸しになってしまうので、人が住めたのはごく一部だったようだ。

この絵に描かれている水路は、「四ツ木通用水」。元々は亀有上水や本所上水、小梅上水とも呼ばれていた水路だが、1722年(享保7年)に近辺の再開発に伴って上水が廃止されたものである。「通用水」ということからもわかるように、この水路の上流では、舟を使った交通路としてその役割を果たしていた。
普通の舟なら、櫓(オール)を漕いで進むところだが、この川は櫓で漕ぐには不向きだったため、舟の先頭に棒を立て、そこに縄をくくったものを陸から人力で引っ張って舟を動かしていた。
この舟は「サッパコ」と呼ばれ、お金に余裕のある人の移動手段かつ一種のアクティビティとなっていた。

小梅堤は、この通用水の両岸にある堤のことである。
そもそもこの地は当時「小梅村」と呼ばれ、隅田川の東岸にある三囲稲荷や料亭小倉庵などで有名な村であった。小梅村にある堤なので小梅堤ということだ。
対岸の堤には人の往来があることがわかる。というのもこの道は水戸街道の脇道として利用されており、西は浅草、東は柴又帝釈天へ向かうのに利用されていたという。

小梅という地名からもわかるように、この辺りは梅の名所だった。特に手前の橋の右側には八段(約8平方km)の広さに渡る梅林があった。そのため手前の橋は「八段(目)橋(八反(目)橋)」と呼ばれた。その向こうには庚申橋、七本松橋が臨める。

■現在の「小梅堤」
四ツ木通用水はサッパコによって移動する風景から、江戸から明治にかけていつしか「曳舟川」と呼ばれるようになった。しかし1954年(昭和29年)、下水道の整備に伴った曳舟川埋立事業により水の流れは消えた。
暗渠となった後は、向島界隈の主要道路としてその役目を果たしていたようだ。現在、押上2丁目から八広6丁目までの区間は、「曳舟川通り」という通称で親しまれている。

小梅村についても、1889年(明治22年)の市町村合併で、本所区に組み込まれ、向島小梅町、新小梅町、小梅瓦町に姿を変えた。さらに1931年(昭和6年)に小梅1〜3丁目に改変され、ついに1964年(昭和39年)向島と押上に名前を変え「小梅」の文字は地図から消えた。
とはいえ、町中には「小梅小学校」「小梅稲荷」など、小梅の文字が数多く残っている。曳舟川通りの一本北側の道は「小梅通り」という道路通称がある。
さらに2011年、墨田区の道路通称として「小梅牛島通り」が新しく制定されるなど、「小梅」という言葉の愛らしい響きは地元民の心をがっつり掴んでいるようだ。


広重が描いた風景は、現在でいう向島1丁目と向島2丁目の境から向島2丁目方面を望む方向であると考えられる。梅の木が描かれた方向には、スカイツリーが臨める。
この位置からだとてっぺんを見上げると、かなり首が痛い。江戸時代の人々も、こんな風に空を仰いで梅を鑑賞したのだろうか。

あんまり上手くないオチだが締めさせて頂く。


より大きな地図で 小梅堤 を表示

2013/02/13

はじめに


皆さんは、自分が住んでいる土地のことをどれだけ知っているだろうか。

住んでいる場所がどういう役割の土地なのか。

住所や最寄りの駅名の由来は何なのか。

道路がなぜこのルートを選んで作られたのか。

この公園がある場所は昔どんな場所だったのか。

皆、特に興味も無いし、知りたいとも思わない。
それだけ周囲の環境に私たちが溶け込んでいるのかもしれない。

でも、何か悲しい。

残された過去の痕跡は、そこに「歴史」があることを示している。
これらの痕跡は、発見されるのを待ちわびている、と私は勝手に思っている。
じゃあその声に応えてやろうじゃないか。

と御託を並べたものの、そんなに歴史の知識があるわけじゃない。

「まあ、とりあえずその辺をぶらぶらしてみますか。」

そんなゆるゆるなブログです。



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