気の向くままにつらつらと。

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2018/06/16

【歩き旅】大山街道 Day8 その① ~大山てくてく~



ついに最終日。本日は大山山頂を目指して街道歩きというよりは登山に挑戦する形となった。せっかくの登山日和ということもあり、今回は友人を道連れにして頂を目指す。

小田急伊勢原駅から大山ケーブル駅行きのバスに乗り20分ほどで終点の大山ケーブル駅に到着。バス停からすぐに「こま参道」の階段が延びる。もともとは左手にあったもみじ坂が参道だったが、関東大震災の被害により付け替えられた。


途中「茶湯寺」への分岐がある。前回のエントリーで複数の寺院が合併してできたと紹介した寺だが、今回は立ち寄らず。


参道には豆腐料理屋、食事処、土産物屋などが立ち並んでいる。大山は関東近郊では初心者向けの登山コースとして名高く、この先も小さい子供の姿を何度か見かけた。


「左 阿夫利神社 不動尊 道」と刻まれた道標がある場所を右に行くとケーブルカー乗り場となる。もちろん左へ進む。


階段をのぼると八意思兼(やごころおもいかね)神社がある。ここから阿夫利神社下社の手前までは男坂・女坂の2つのルートがあることから追分社とも呼ばれる。
八意思兼命は知恵を司る神。天岩戸伝説においては、岩戸の外で宴会をしていればきっと天照大神は気になって出てくるだろうという巧妙な心理作戦を八百万の神に提案した神でもある。
今回は行きを男坂、帰りを女坂を使用して行こうと思うが、おそらく女坂から登ったほうが緩やかな道のりで足への負担は少ないはず。


追分社の脇の急な石段から男坂が全力で圧倒してくる。一段一段が大きいので、つづらの折返しごとに息を整えながら登っていく。


登山は周りの景色が急に変わることはほとんどない。そんな変わり映えがしない景色に変化を与えてくれる要素の一つが「町目石」だ。登山の最初の方は今何町目かをカウントしつつ着実に登っていることを実感するのだが、段々と数えるのが億劫になってしまう。そしてそもそも何町目が頂上なのかを忘れてしまって、いつしか町目石は景色の一部に溶け込んでしまうのである。


変わり映えしない石段を眺めつつ登っていると、真新しい看板が目に刺激を与えてくれた。「男坂三十三祠」の「弁」だという。かつて男坂には三十三の祠があったという。おそらくここには弁天社が祀られていたのだろうか。看板の後ろの岩がくぼんでいて祠のように見えなくもないが、如何せん詳細が不明であった。


しばらく行くと「愛」があった。ナンバリングは6から16へと飛んだ。愛宕社があったのだろうか。


広場のような場所に出てきた。ここは八大坊上屋敷跡で、阿夫利神社(石尊社)、大山寺の別当として大山の運営を行っていた。徳川家康主導のもと慶長10年(1605年)から大山の改革が始まり、大山一帯は八大坊を中心とした寺社組織となり、明治維新の神仏分離まで続いた。
江戸時代末期には八大坊の下に供僧11坊、脇坊6坊、承仕(候人)4坊、修験8坊、神家8坊(師職兼帯)、師職(御師、後の先導師)166軒があり、かなりの規模だったことがわかる。


すぐ近くに菊水紋が眩しい万国忠霊塔がある。世界のすべての国のその国のために忠節を尽くした勇士の霊を慰めるための塔とのこと。


階段を数段登れば「従是女坂道」の道標。ここで女坂と合流する。


そしてそこから数十段登れば大山阿夫利神社下社へ到着。天下泰平・国土安穏と書かれた銅鳥居をくぐる。


鳥居を潜って左手には「日本三大獅子山 大山獅子」のモニュメントが。かつて境内にあった獅子山が明治期の災害や関東大震災の山津波などにより流出しまっていた。平成24年(2012年)に皇太子殿下が大山登山されたことを記念して、これを復元したものである。


大山阿夫利神社下社の拝殿へ参拝。標高700mに位置する下社は、阿夫利神社の主たる社。明治初年の神仏分離によって、大山寺不動堂が廃止され、その寺地に阿夫利神社下社が置かれた。拝殿は関東大震災の被害を受けた際にも僅かな改修で乗り切っていたが、昭和52年(1977年)に再建が行われ現在に至る。
ケーブルカーでもここまでは簡単に来ることができるので、身軽な参拝者も多い。


拝殿の脇から下社地下巡拝道へ入ることができる。大山名水が汲めるのでここで喉を潤すことができる。その奥には6mを超える巨大な納太刀も展示されている。これを江戸から担いできたと考えると、その信心深さと体力が想像できない。


下社からの眺望は2015年のミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで二つ星を獲得している。薄っすらと見える相模湾や、夜景の美しさが評価されたという。大山自体も一つ星に認定されている。

ここから先、阿夫利神社上社を目指す。

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