【宝珠稲荷神社】江戸歌舞伎と木挽町と板倉家
「伊勢屋、稲荷に、犬の糞」と称されるほど、江戸市中には稲荷神社が数多く点在した(稲荷神社についてはこちらも参照)。銀座三丁目の木挽町通り沿いにひっそりと佇む「宝珠稲荷神社」も、そんな数多の稲荷神社の一つに過ぎない。知名度も無ければ、ガイドマップなどで紹介される機会も少ない神社である。境内に磨れた金属の由来版があった。宝珠稲荷神社は一六一五年の頃三河の国深溝の領主板倉内膳匠重昌の江戸屋敷内に家内安全火除の神として祭神せられたるものなり内膳匠重昌は京都所司代及江戸町奉行として今名高かりし板倉勝重の次男として一五八八年後陽成天皇の御代天正...