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2022/03/08

【巡礼記】関東三十六不動尊 第三十五番 波切不動尊



いすみ鉄道の終着駅・大原駅に到着。大原駅はJR外房線とも接続する東房総の要衝である。大原駅から徒歩で15分、平成6年(1994年)に開園した大原公園の入り口に今回の目的地である波切不動尊こと大聖寺がある。寺の前には公園の一部となっている大きな池・大聖寺堰がある。かつてはこの辺りまで入り江が伸びていたのだろうか。


大聖寺へ向かう階段の前には2つの祠がある。一つは青面金剛像。足元には小石が積み上げられていて三猿が見切れている。


もう一つは地蔵菩薩。頭や肩にも石が載せられている。


石段を登ると不動堂がある。室町時代工期の建立とされ、貞享3年(1686年)にいすみ市岬町鴨根の坂東三十三箇所第32番札所・清水寺観音堂の建替えの際に移築されたもの。宝治2年(1248年)、地元の漁師の妻・お丹が海藻を採りにいった際に不動明王像を発見し、これを安置したことにはじまるという。この逸話にちなんで、不動明王を拾ったとされる浜は「丹々浦」と呼ばれている。

不動堂は茅葺き寄棟造で、組物の拳鼻や頭貫の木鼻などの装飾は鎌倉時代に伝来した禅宗様(唐様)と従来の建築様式である和様との折衷様式となっている。国指定重要文化財に指定されている。


不動堂裏手には地層がよくわかる崖。この辺りは上総層群と呼ばれる地層が露呈している場所が多い。崖の袂には石碑群。如意輪観音像が多いので、無縁供養塔かはたまた月待塔か。


阿弥陀如来を本尊とする近代的なコンクリート造本堂。


不動堂へと登る階段の脇には観音堂があった。


波切不動尊を後にし、再び大原駅へと戻る。途中、往路では気づかなかった「車堂」なるものがあったので立ち寄ると、ここに「坂東の車地蔵」なる石仏があった。祠の左手には元禄9年(1696年)の銘が入った南無阿弥陀仏供養塔。右手が件の車地蔵で、上部に仏像、下部に車輪石という様式。享保4年(1719年)に旧坂東村の若者中によって奉納されたもので、後生車を回すことで六道の苦しみから解放されるという信仰がある。「車堂」は海難者を中心とした無縁仏を供養する共同墓地だという。


霊場

阿舎羅山 不動院 大聖寺 波切不動尊
所在地:千葉県いすみ市大原10676
三十六童子:波利迦童子(はりかどうじ)

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