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2023/12/21

薩摩街道・豊前街道 Day4 その③



豊前街道永ノ原の案内碑がある。永ノ原台地は西南戦争の激戦地と知られる。


「西南の役薩軍の墓」と記された木の案内板があった。矢印の指す方を見ても、それっぽいものが見当たらなかった。なんでも矢印の先の森の中に通称「賊軍の墓」と呼ばれる薩軍墓地があるとのこと。官軍との扱いが違いすぎる。


少し進んだところに「西南の役古戦場跡」と「豊前街道 ハゼ並木」の案内板がある。西南の最大の戦闘が行われたのは「田原坂」であることは有名だが、ここ永ノ原はそれと並ぶ激戦が行われた地だという。

ハゼ並木については、蝋の需要を賄うため細川氏によってハゼを植えさせたということであった。ハゼは熊本の特産品として藩の財政を潤した。

ちなみにこの辺りで、かなり至近距離から何度も猟銃の音がしていて、自分が猪か何かに間違えられやしないかとビクビクしながら歩みを進めていた。


おもむろに突き刺さった標石は「玉名山鹿郡境碑」。「従是西北玉名郡」と刻まれているという。ここから山鹿市に入っていく。


梅迫の集落に入っていく。ここに西南の役(山鹿口の戦い)の説明板があった。ここ山鹿口では明治10年(1877年)2月26日から3月21日の24日間にわたって薩軍官軍両軍の激しい攻防があった。


集落を抜けて林に入って下っていくが、この坂は「車坂」と呼ばれる。坂の途中に「西南の役政府軍の台場跡」の標柱がある。官軍はこの辺りの斜面を利用して砲台を設置し、薩軍に向けて猛射したという。


坂を下りきったところにも「史跡西南の役鍋田戦跡(車坂)」の標柱。明治10年(1877年)3月3日に車坂で衝突した官軍と薩軍は、一時間の戦闘の末、官軍が長野原(永ノ原)まで後退することとなった。さらに腹切坂まで官軍を追いやり、薩軍は街道の北に位置する板楠まで進駐。翌日4日にいざ南関を目指して進んでいこうとしたときに、田原坂で薩軍が大敗したという一報が入る。これを聞いた薩軍本隊は、孤立を避けるため山鹿まで戻ることにした。しかし、この田原坂大敗は誤報だったというのである。

3月12日、今度は兵力を増強した官軍が山鹿を目指して進軍。鍋田東まで進んだものの、薩軍の猛反撃などにより、この日は街道の北に位置する平山まで戻って次の進軍に備えることにした。

3月15日、鍋田の西に本隊を構える官軍が、鍋田東に陣を張る薩軍に総攻撃を仕掛ける。この日の戦闘は一進一退でどちらも譲らず、両軍の被害だけでなく砲弾で地面や木々がえぐれたり、周囲の民家が燃えたりする事態となった。

3月20日、田原坂が官軍により制圧されたのを期に、薩軍が隈府に向けて撤退。官軍が山鹿に入ったことで山鹿口の戦いに終止符が打たれることとなった。


国道443号を横切り、ちょっとし山道を抜けると田園沿いの道を進むことになる。ここに「七里木跡」の碑があった。徐々に熊本城に近づいているのがわかる。


追分道標があり「右國道兼松道」「左南関道」と刻まれている。南関道はこれまで辿ってきた豊前街道であるが、国道兼松道は現在の八女市立花町兼松へ向かう国道3号線を指すのだろうか。追分石の裏手には西南の役戦没者慰霊碑が設けられている。


追分のすぐ隣が山鹿市立博物館になっている。敷地の一部は屋外から散策できるようになっていて、ここに水路橋が移設展示されている。これは慶応元年(1865年)頃、吉田川に架橋された橋で、上益城郡山都町にある通潤橋(つうじゅんきょう・国指定重要文化財)に次いで全国2位の規模の水路橋だったという。昭和28年(1953年)に吉田川河川改修工事によって撤去。その後、昭和59年(1984年)に山鹿市立博物館に復元移設された。


博物館の入り口付近には石碑もいくつか置かれていた。右手の「方保田の板碑」は元享元年(1321年)の銘があり、阿弥陀如来と不動明王の種字が刻まれている。元々方保田八幡宮にあったものが、専立寺へと移設され、その後博物館に渡った。左手の石碑は「中村の庚申塔」。

気温も高く疲労も溜まってきたので、博物館内で少し涼ませてもらった。


街道に戻る途中に、山鹿口の戦いの錦絵が展示されていた。


山鹿市小坂にある柳井寺跡で出土した五輪塔が並べられていた。「柳井寺」は、天台宗の寺院で、平安時代後期から室町時代頃まで栄えていたが、現在は廃寺になっていて近い場所に「野辺田観音堂」が建立されている。

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