秩父三十四カ所巡礼の旅 Day2の③ 〜札所ラッシュ!〜
ここからの札所は住宅街の中に点在し、各札所間の距離も短いのでさくさく巡ることが出来る。
まずは西武秩父駅と秩父鉄道御花畑駅の目と鼻の先にあるお寺、十三番札所・慈眼寺。名前の通り「眼」の寺として知られており、境内にはメグスリの木が植えてある。
納経所で「メグスリ茶」なるものを味見したが、苦みとスースー感がなんとも言えない感じだった。
次の十四番・今宮坊へは10数分ほどで到着。周囲を住宅に囲まれてひっそりと佇んでいる静かなお寺だった。ひっそりとしすぎて、近くにあった今宮神社に間違えて入ってしまったくらいだ。
先客の方は熱心な巡礼者のようで、般若心経の読み方がこれまでの他の人と比べても様になっていた。納経帳が真っ赤になるほど巡礼を何週も行っているようで、朱印書きの手伝いをしていた方がどこに判を押せば良いのか戸惑っていたのが印象に残っている。
今宮坊から東へ進み、踏切を渡ると十五番札所・少林寺。本堂の白さが独特の様相のこのお寺は、1878(明治11)年に起きた「秩父大火」の際に消失した本堂を再建する際に、防火の目的から西洋様式を取り入れたため漆喰塗籠・土蔵造りの仕様となっている。
敷地内には、1884(明治17)年に起きた秩父事件で殉職した警官の墓と山縣有朋が贈った碑がある。
今度は進行方向を西に変えて進んでいく。途中、秩父神社の前を通った。秩父の市街地の中心に位置しているこの神社によって、秩父は門前町として栄えることとなった。かつてこの辺りの地域が「大宮郷」・「大宮町」と呼ばれたことも、この神社に由来する。
例大祭である「秩父夜祭」は、日本三大曳山祭にも数えられており、多くの観光客が訪れるイベントとなっている。
秩父神社の参拝を済ませ、国道から住宅街の細い道へ入っていくと次の16番札所・西光院に辿り着く。本堂を中心として、中庭を囲むように「札堂」、「回廊堂」などが立ち並ぶ。
秩父三十四カ所すべての寺院にあったものだが、現存しているのはここだけとなっている。かつては、木や金属で出来た「お札」をこの札堂に打ち付けることで納札を行っていた。札所を巡ることを「打つ」と言うのはここから来ている。
17番・定林寺はこじんまりとしたお寺。山門も無く、周囲を民家に囲まれており、ちょっとした公園のような雰囲気がある。「長享二年(1488年)秩父札所番付」によると、このときに定林寺は1番札所であり、秩父郷を起点として順番が振られていたことが示唆される。
定林寺は、アニメ「あの花」こと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のロケ地として知られており、市街からの観光客が訪れるなど、秩父の活性化にも一役買っている。
家と家の隙間を縫うように細い道を進んでいく。宅地を抜けて国道140号線を渡ると、十八番札所・神門寺。かつてこの地が神社だったときに、植えてあった榊が二股に分かれており、楼門から空を覗くように見えた様子から「神門」と呼ばれるようになったとのこと。
さらに住宅地を進んでいく。かつて坂東三十三観音を勧請した「坂東堂」があった場所からカーブし、「坂東坂」を下る。少し歩けば次の札所に到着する。
十九番札所・龍石寺は本堂が石の上にどんと置かれているようなお寺。実際、巨大な岩盤の上に本堂が建っており、その姿は荒廃した町に一軒だけ残った家屋のよう。小高い場所に位置するので、秩父市街の様子が一望できる。
ここで二日目の巡礼は終了。最寄りの大野原駅から帰宅。