【巡礼記】関東三十六不動尊 第二十七番 川越不動尊
不動尊巡りも神奈川、東京を経由して埼玉に突入する。「小江戸」としても知られる川越市街地にある川越不動尊を訪問する。川越市街地へ電車で向かう場合、最寄りは西武新宿線の本川越駅となるが、すぐ近くには東武東上線の川越市駅、JR川越線の川越駅もあるので、選択肢は多い。本川越駅から不動尊までは徒歩で15分程。
山門の彫刻は上部に控鶴仙人、下部に十六羅漢の一人である伐闍羅弗多羅尊者(ばじゃらほたらそんじゃ)、内側にも十六羅漢の一人・迦理迦尊者(かりかそんじゃ)が彫られている。
山門入ってすぐ右手に金剛杵が飾られていた。両端が5個に分かれているので五鈷杵(ごこしょ)と呼ばれる。弘法大師がよく右手に持っている密教法具であり、触れることで弘法大師との縁をさらに深めることができるという。ちなみに五鈷杵の両端が分かれていないものが、目黒不動尊の滝の名前の由来にもなった「独鈷」である。
五鈷杵は大師堂の一角に飾られており、お堂を囲むように四国八十八ヶ所の各札所本尊の絵と御詠歌が刻まれた碑が配置されている。四国八十八ヶ所のお砂踏み場となっており、碑の足元には各札所の砂が埋め込まれている。
鐘楼の脇には不動明王と童子の石像。供えられたカップ酒が哀愁を誘う。
川越不動尊は嘉永6年(1853年)、当時廃寺であった本行院に成田山新勝寺から不動明王を分霊し再興したことに始まる。明治10年(1877年)には本行院の建物など全てを成田山の管理下に移し、「成田山川越別院本行院」と称し、成田山初の別院となった。
本堂の龍の彫刻や獅子鼻もかなり立派であるが、柵に囲われてはっきりと確認することはできない。
開山堂は不動明王をこの地に分霊し、本行院を再興した石川照温を祀ったもの。