【巡礼記】関東三十六不動尊 第三番 野毛山不動尊
野毛山不動尊へはJR桜木町駅もしくは京急日ノ出町駅が最寄りとなる。今回はJR桜木町より向かう。住宅街とも商店街とも言い難い細い道を抜けると、目の前の崖上に格子状に鉄骨が組まれた建物が見えてくる。これが今回の目的地である。
元々は明治3年(1870年)頃、成田山新勝寺の横浜別院として横浜市内の別の場所で遥拝所を設立したことに始まる。その後明治9年(1876年)に現在地に移転し、明治26年(1893年)に成田山横浜別院延命院と改めた。
急な階段を登った場所にある本堂は、平成27年(2015年)に完成した。急崖に設けられたこともあり、再建時には土砂崩れなどの被害もあったようだ。本尊の不動明王は元々徳川家の秘蔵仏だったものが成田山に奉納されたもの。
崖上に位置することから、本堂前の広場からは横浜の市街地を一望できる。横浜ランドマークタワーやコスモワールドの観覧車などを臨める。
延命院の隣には萬徳寺という曹洞宗の寺院が建っている。明治11年(1878年)、この地に曹洞宗の布教所が開創されたが、明治26年(1893年)に静岡県山名郡久努村(現在の袋井市)にあった萬徳寺を移設して開山して現在に至る。本堂入り口前に六地蔵が並んでいた。
戦時中には西参道沿いに闇市が形成され、小さな商店などが並んでいたというが、空襲によって延命院・萬徳寺と共に焼けてしまったという。その時残ったものの一つがこちらの昭和6年(1931年)建立の道了大薩埵御迎物記念碑だという。
萬徳寺墓地脇に物々しい造りの「太陽光採システム装置」があった。コンピュータ制御で二枚のプリズムを調整しながら内部の「円廟」の中心に自然光を取り入れる仕組みなのだという。墓地の近代化にもいろいろな手法があることを伺い知れる。
境内には頭が馬で体が人の珍しい馬頭観音があった。「ベンジャミン号に捧ぐ 1977ー1992」と刻まれているが、これは競走馬だったベンジャミン号を供養する碑だという。施主がカトリックだったためロザリオを手にしている。
霊場
成田山 横浜別院 延命院 野毛山不動尊
所在地:神奈川県横浜市西区宮崎町30
三十六童子:不動恵童子(ふどうえどうじ)
0 コメント:
コメントを投稿