【巡礼記】関東三十六不動尊 第二十六番 西新井大師不動明王
第25番の皿沼不動尊からバスで20分ほど揺られれば、西新井大師としても知られる総持寺参道に到着する。東京都内の初詣参拝者は明治神宮、浅草寺についで第3位で、知名度もそれなりにある寺院である。
総持寺の山門は天保4年(1833年)建立と推定されている総檜造りの楼門。訪問時は改修工事真っ只中(工期:2017年3月〜2018年11月)で、その姿を見ることはできなかった。今回の改修工事により、山門の修繕が行われただけでなく、山門を境内側に6mほど移動し、門前商店街との間にゆとりのある広場が作られた。
この時は山門から入れなかったので少し西側に迂回すると、路傍に古そうな道標があった。寛政8年(1796年)のもので、「是より左り 六阿ミ多 道のり十八丁 二者んめ道」とあるようだ。江戸時代に町民の間で流行した巡礼である「(江戸)六阿弥陀詣」は、春秋の彼岸に六ヶ所の阿弥陀仏を巡礼するというもの。全ての札所をちょうど丸一日かけて巡礼できる手軽さもあり、彼岸時期には各札所が賑わったという。その2番寺は沼田村(現在の足立区江北)にあった延命寺。余裕のあった巡礼者は、西新井大師に立ち寄り、その後千住宿を目指したという。延命寺は明治時代に廃寺となり、現在は近くの恵明寺に合併している。
総持寺は天長3年(826年)に空海が関東巡錫の際、この地で十一面観音像を彫り祈願したことに始まる。祈願を行うと枯れていた井戸から湧き水が溢れ出し、人々を疫病から救ったという伝説があり、その井戸がお堂の西側にあったことから「西新井」の地名が起こった。大本堂は昭和46年(1971年)に再建されたもので、秘仏の十一面観音像と弘法大師像を祀っている。
不動堂は本堂向かって左手にある。不動明王像は両脇に制吒迦童子と矜羯羅童子を従えており、それぞれ不動明王の「忿怒」と「慈悲」を表しているという。西新井に居を構える玉ノ井部屋出身の元大関栃東(現:玉ノ井親方)が優勝した際には、西新井大師から玉ノ井部屋まで優勝パレードを行った。このとき国技館に飾られた優勝額が不動堂内部に飾られていた。
霊場
五智山 遍照院 總持寺 西新井大師不動明王
所在地:東京都足立区西新井1-15-1
三十六童子:金剛護童子(こんごうごどうじ)
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